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セミナー

2024年度「車両と機械」技術セミナーの開催

 本セミナーは、鉄道関係業務のうち、鉄道車両及び鉄道周辺機械設備に関連しておられる
技術者の方々を対象に開講しています。保守・設計・開発をしている関係技術者の方々の業務上
での参考になることを目的としたものです。講演テーマは前記の鉄道車両及び鉄道周辺機械設備
に関連するものから、基礎知識的に必要と桃われる分野、最近話題になっている先端技術分野の
ことまで、幅広い分野のテーマを取り上げています。今年度も下記のとおり、4回に分けて7テーマ
を計画しておりますので、多数の皆様にご参加頂きますようご案内します。
                    記
1. 開催日時および演題・講師
  第1回  9月 6日(金) 13:30~16:50
      No.1 鉄道車両におけるカーボンニュートラルへの道~主回路技術とその周辺~
         早稲田大学 先進理工学部
         電気・情報生命工学科
         教授 近藤圭一郎 様
  第2回  10月4日(金) 13:30~16:50
      No.2 次世代バイオディーゼル燃料の適用に向けた実証試験
                 公益財団法人鉄道総合技術研究所 車両技術研究部
         駆動システム研究室
         主任研究員 高重 達郎 様
      No.3 フェーズドアレイ超音波探傷法(PAUT)による台車部品の検査
                 公益財団法人鉄道総合技術研究所 車両技術研究部
                 車両強度研究室 主任研究員(上級) 牧野 一成 様
   第3回  11月 1日(金) 13:30~16:50
        No.4 水素の利活用による鉄道GXの推進
                 公益財団法人鉄道総合技術研究所 研究開発推進部
                 次長 長谷川 均 様
      No.5 バイオディーゼル燃料が実現する気動車のカーボンニュートラル
                 西日本旅客鉄道株式会社
                 鉄道本部 イノベーション本部 GX戦略室
                 室長 千田 誠 様
  第4回 12月5日(木) 13:30~16:50
          No.6 QRコードを活用した鉄道チケッティングサービス
         東日本旅客鉄道株式会社
                 マーケティング本部 戦略・プラットフォーム部門
                 システムユニット マネージャ 高堂 洋平 様
      No.7  東京都交通局におけるホームドア全駅設置完了までの経緯と技術変遷
                 東京都交通局 車両電気部 信号通信課 
                 鉄軌道電気技術担当 課長代理フェロー 岡本 誠司 様
2.場 所
       三甲新橋ビル(ShareWorkingStudio35)
       東京都港区西新橋1丁目16−7 三甲新橋ビル 7F 
                             TEL 03-4331-3535
3.募集人員
       各回80名(定員に達し次第締切とさせて頂きます。)
4.参 加 費 
       (1) 4回連続聴講の場合は31,350円/4回分一括払いです。(税込価格)
        (4回分でお申し込みの場合、会員・会員外の方の参加費は同じです。
                 また4回分一括払いの聴講券で一度に4名までの聴講ができますので、
                 参加される御希望回を選定してください。)
       (2) 1回毎の聴講の場合は8,800円です。会員以外の方は10,450円です。
                                              (いずれも税込価格)
5.参加申込み
       (1)E-mailまたはFAXにより参加者または申込者の会社、所属、連絡先住所、
                メールアドレスおよび電話番号を記載のうえお申込み下さい。
         参加費のお支払いは、参加者または申込者への受講票の送付と合わせて
                お知らせ致します。
       (2)申込先 〒105-0003 東京都港区西新橋1-19-4 難波ビル5F
                      (一社)日本鉄道車両機械技術協会
                         担当 企画部  湯本 昇
                            E-mail: yumoto-n@rma.or.jp
                            TEL 03-3593-5611 
                           FAX 03-3593-5613
6.申込書
      申し込み時のお願い
       4回連続聴講券は1回ごと1枚ずつでも、特定の1回に4名様聴講でも、
       いかようにも分割可能です。
       ただし、申し込みの際に実際に聴講する回と人員を『申込別』の欄に記入して下さい。
【講演概要】
 (第1回 9月6日)
 No.1 鉄道車両におけるカーボンニュートラルへの道~主回路技術とその周辺~
  鉄道は元々が環境にやさしい交通機関であり,人・kmベースの輸送力当たりのCO2排出量は
 乗用車と比べて少ない。しかし,鉄道自体のCO2排出量が0ではない以上,鉄道のエネルギー
 利用の場面でエネルギー効率の向上が必要です。本講演では鉄道車両のエネルギー消費のメ
 カニズムを明らかにしつつ,列車運転に伴うCO2削減のための技術について解説を行います。
 電気鉄道車両については主回路機器や列車走行抵抗による消費エネルギー特性、回生ブレーキ
 による消費エネルギー削減のメカニズムについて解説を行います。また非電化区間用車両では,
 ディーゼルハイブリッド車,蓄電池電車,燃料電池ハイブリッド車両の主回路構成と消費エネ
 ルギー削減のメカニズム,性能上の限界などについても解説を行います。これらを通じて,
 主回路技術を中心としたCO2削減と周辺技術について,聴講者の理解を深めます。
(第2回 10月4日)
 No.2 次世代バイオディーゼル燃料の適用に向けた実証試験
  2020年に、日本政府は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、
 すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すこと」を宣言しました。
 このような脱炭素化を進めるために、経産省が主導してカーボンリサイクル技術のロードマップ
 を作成しており、その中ではバイオディーゼル燃料(Bio Diesel Fuel、以下「バイオ燃料」)
 や合成燃料(e-fuel)などが軽油の代替燃料として取り上げられています。このうち、バイオ
 燃料については、原料となる植物が成長過程で二酸化炭素を吸収しますので、燃焼で二酸化炭素
 が発生してもトータルでは大気中の二酸化炭素は増加せず、二酸化炭素排出量はカウントしない
 という「カーボンニュートラル」の考え方が適用されます。
  温室効果ガス削減に向けて、鉄道でもバイオ燃料の使用に向けた検討が行われています。
 その一環で、国土交通省が公募した「鉄道技術開発・普及促進制度 令和4年度新規技術開発課題」
 として、鉄道総研とJR7社が提案した計画が採択され、ディーゼル車両へのバイオ燃料導入に
 向けた実証実験に取り組んでいます。本講演ではこの実証実験の内容を中心にバイオ燃料などに
 ついてご紹介します。
 No.3  フェーズドアレイ超音波探傷法(PAUT)による台車部品の検査
  鉄道車両の台車枠や車軸などの台車部品に対しては,製造時あるいは定期検査時に非破壊検査
  が適用されています。非破壊検査の一種である超音波探傷では,多数の振動子を並列配置した
  アレイ探触子を用いて,超音波の伝搬方向や焦点を電子的に制御して探傷するフェーズドアレイ
  超音波探傷法(PAUT)が,きずの検出性能の高さや,探傷結果の映像化によるきずの判断の容易
  さなどから近年注目されています。
   本講演では,まず,台車部品における超音波探傷を含む非破壊検査の現状を概説したのちに,
  PAUTの原理などの概要について,従来の超音波探傷と比較しながら説明します。そのうえで,
  PAUTを台車部品に適用し,きずを映像化して検出した事例を紹介します。台車枠に関しては,
  側ばりの溶接部を対象として,きずの面が側ばり表面に対して傾斜したきずにPAUTを適用した
  ときの検出性能や,台車枠の塗膜厚さの影響を評価したうえで,実台車枠に対してPAUTを適用した
  結果を示します。車軸に関しては,車輪座などのはめ合い部に対して,斜角探傷法および局部
  探傷法でPAUTを適用したときの探傷結果を示します。最後に,PAUTの有効性,活用性や今後の
  展開を述べます。
 (第3回 11月1日)
  No.4  水素の利活用による鉄道GXの推進
   2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、鉄道分野のGX(グリーン・トランス
  フォーメーション)について、鉄道の脱炭素化、鉄道による脱炭素化、鉄道が支える脱炭素
  化の三本柱で技術開発等を進めていくことが求められています。鉄道システムにおいてライ
  フサイクル全体での二酸化炭素排出量を試算してみると、運行に伴うエネルギー消費による
  ものが大部分を占めることがわかっています。脱炭素化について、電化区間においては再生
  可能エネルギーの主力電源化に期待するところが大きいが、非電化区間については、化石燃料
  からの脱却など様々な技術的アプローチが必要です。このような背景のもと、既存の気動車を
  活用できるバイオ燃料への転換、蓄電池車による気動車の置換などが進められています。特に、
  水素を燃料とする燃料電池車の社会実装は、非電化区間の脱炭素化のカギとなると考えられます。
 本発表では、水素燃料電池車について、これまでの開発経緯の解説をするとともに、国内外での
  開発動向について紹介し、サプライチェーンを含めた鉄道システムにおける水素エネルギーの
  利活用についても触れます。
 No.5  バイオディーゼル燃料が実現する気動車のカーボンニュートラル
   2021年4月にJR西日本グループは環境長期目標「JR西日本グループ ゼロカーボン2050」を
  策定し、2050年にグループ全体のCO2排出量「実質ゼロ」の実現に向けて、2030年度には、
  50%の削減(2013年度比)をめざし、各種取り組みを行っている。
  電力の消費などによって間接的に排出するCO2(SCOPE2)については、電力を効率的に変換
  できる機器や回生ブレーキを備えた省エネ型車両の導入などによる省エネルギー化や、再生
  可能エネルギー由来の電力の導入により削減を行っているところです。一方、軽油などの化石
  燃料の消費によって直接的に排出するCO2(SCOPE1)の削減については、高効率なエンジンや
  動力伝達方式を採用した気動車の導入などによる省エネルギー化の他に、化石燃料からカーボン
  ニュートラルとなる燃料への転換が必要と考えています。
  JR西日本では、SCOPE1のCO2排出削減に資する気動車のカーボンニュートラルを実現する手段
  として、植物由来の原料を使用するバイオディーゼル燃料に着目し、導入に向けた実証試験を
  行っているところです。
  本講演では、バイオディーゼル燃料の特徴や導入に向けた課題の検討状況と解決の方向性、
  気動車のカーボンニュートラルに向けた将来展望について紹介します。
(第4回 12月5日)
  No.6 QRコードを利用した鉄道チケッティングサービス
    JR東日本は、グループ経営ビジョン「変革2027」で目指す「シームレスでストレスフリー
   な移動」の実現やウィズコロナ・ポストコロナ社会におけるお客さまの非接触ニーズにお応え
   するため、またSDGsの観点から持続可能な社会を実現するため、Suicaを軸とした「きっぷ」
   のチケットレス化を推し進めています。
    チケットレス化の新しい手段として、Suicaエリア外とのご乗車や改札機がない駅からご乗車
   されるお客さまでも、スマートフォンひとつで駅の券売機や窓口を経由せずにご乗車いただけ
   るよう、「えきねっと」会員向けに「QRコードを利用した新たな乗車サービス」を2024年度
   下期以降開始し、当社管内でのサービス展開を進めていく計画です。
    また、当社では現在の出改札機器について、磁気乗車券用の機構の複雑さ・鉄道固有の専門性
   の高さから、お客さまサービスを中長期的に維持していくための持続可能なシステムに移行する
   必要があると考えています。より持続可能なシステムへの移行を進めるため、近距離の磁気乗車券
   からQR コードを使用した乗車券への置き換えを2026 年度末以降、順次実施する予定です。
    本講演では、当社で取り組んでいるQRコードを活用した鉄道チケッティングサービスについて、
   施策実施に至る経緯や今後目指す方向性等の将来展望について紹介します。
                             ※QR コードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
  No.7 東京都交通局におけるホームドア全駅設置完了までの経緯と技術変遷
    ホームドアは、都市鉄道としては昭和50年代から新交通システムの無人運転のための運転支援
   設備として導入され、その後、地下鉄のワンマン運転のための設備として整備されるなど、主に
   列車運転の自動化のための設備として整備されていました。また、新幹線においては、通過駅の
   安全対策として設備されていました。
    これらの動きと並行して、バリアフリーのための設備としての検討も進み、法整備や補助金制度
   の整備、技術的進展等などの面で、ホームドアは著しい発展を遂げています。
    都市交通、特に地下鉄路線でのホームドアの検討経緯や各々の路線における設備の位置づけと
   必要とされた機能要件など、また、新規技術開発の経緯等を、新交通・地下鉄を担当した者として、
   これまでホームドア整備に関わってきた経験を述べるとともに、今後の可能性・方向性などについ
   ても、公営鉄道事業者の担当者の立場から考察してみたいと思います。