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今年度のセミナーはすべて終了いたしました。 多数のご参加ありがとうございました。
本セミナーは、鉄道関係の業務に日常携わっている技術者を対象に、この業務の進歩・技術開発を 支援することを目的としたものであります。演題は、鉄道技術に直結する鉄道車両および機械設備に 関するものから近年技術開発が急速に進みつつある先端技術分野のことまで、広い分野でテーマを 取り上げています。今年度も下記のとおり、4回に分けて10テーマを計画しておりますので、多数の 皆様にご参加頂きますようご案内します。
記
1. 開催日時および演題・講師 第1回 9月 6日(木) 13:30~16:50 No.1 TRAIN SUITE四季島のEDC方式 ~電化方式を問わず自力走可能な新たな主回路システムの開発~ 東日本旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 運輸車両部 車両技術センター 課長 システム電機グループリーダー 本倉 幹弘 様 No.2 87系「TWILIGHT EXPRESS瑞風」の車両システム 西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 車両部 車両設計室 課長 田邊 尚紀 様 No.3 画像処理技術の発展と鉄道への応用 株式会社東芝 研究開発本部 電力・社会システム技術開発センター 自動化・画像応用システム開発部 画像応用システム技術開発担当 グループ長 助川 寛 様 第2回 10月4日(木) 13:30~16:50 No.4 電車線とパンタグラフの動特性 (公財)鉄道総合技術研究所 鉄道力学研究部 集電力学研究室 室長 臼田 隆之 様 No.5 海外鉄道建設への日本鉄道技術者の貢献 日本コンサルタンツ株式会社 技術本部 技術顧問 由川 透 様 第3回 11月 8日(木) 13:30~16:50 No.6 JR東日本における機械設備のネットワークメンテナンスの取組み 東日本旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 設備部 機械技術管理センター 所長 大竹 房夫 様 No.7 エレベーターの遠隔管理サービス 三菱電機ビルテクノサービス株式会社 技術開発本部 保守技術開発部 参事 佐々木 茂雄 様 No.8 トリリオンIoTと人材育成 一般社団法人 情報処理学会 事務局長 木下 泰三 様 第4回 12月6日(木) 13:30~16:50 No.9 空調システムの流体シミュレーション 近畿車輌株式会社 研究開発部 技師 岡本 育志 様 No.10 鉄道車両における探傷技術の変遷、現状と近年の動向 (公財)鉄道総合技術研究所 車両構造技術研究部 車両強度研究室 主任研究員 牧野 一成 様
2.場 所 虎ノ門法経ホール 大ホールAB(虎ノ門法曹ビルB1F 東京都港区西新橋1-20-3 Tel 03-5501-2750
3.募集人員 各回100名(定員に達し次第締切とさせて頂きます。)
4.参 加 費 (1) 4回連続聴講の場合は25,700円/4回分一括払いです。 (4回分でお申し込みの場合、会員・会員外の方の参加費は同じです。 また4回分一括払いの聴講券で一度に4名までの聴講ができますので、 参加される御希望回を選定してください。) (2) 1回毎の聴講の場合は7,200円です。会員以外の方は8,200円です。 5.参加申込み (1)E-mailまたはFAXにより参加者または申込者の会社、所属、連絡先住所、 メールアドレスおよび電話番号を記載のうえお申込み下さい。 参加費のお支払いは、参加者または申込者への受講票の送付と合わせてお知らせ致します。
(2)申込先 〒105-0003 東京都港区西新橋1-19-4 難波ビル5F (一社)日本鉄道車両機械技術協会 担当 技術企画部 E-mail:uematsu-m@rma.or.jp TEL 03-3593-5611 FAX 03-3593-5613
6.申し込み書 申し込み時のお願い 4回連続聴講券は1回ごと1枚づつでも、特定の1回に4名様聴講でも、いかようにも分割 可能です。ただし、申し込みの際に実際に聴講する回と人員を『申込別』の欄に記入して下さい。
【講演概要】 (第1回 9月6日) No.1 TRAIN SUITE四季島のEDC方式 ~電化方式を問わず自力走可能な新たな主回路システムの開発~ JR東日本では、クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)」の運行を 2017年5月1日から開始し、列車ならではの「豊かな時間と空間の移ろい」の中で、これまでにない旅の 提供を実現するとともに、地域の魅力を発信することで、地域の活性化に貢献していくことを目指している。 「TRAIN SUITE 四季島」の旅のコンセプトは「深遊探訪」であり、上野駅を起点として、東日本エリアの ほか一部は北海道までの周遊コースを巡って再びに上野駅へ戻る列車である。 本列車の走行線区は、電化区間(直流、交流(AC20kV、AC25kV))と非電化区間があり、主回路システム としては、線区の電化、非電化を問わず自力走行が可能な仕様とすることが求められた。そのため、電化区間 では架線から供給される電力によって走行し、非電化区間では車両に搭載した大出力のエンジンにより発電機 を稼働させ、発電機からの自給電力によって自力走行する「EDC方式(Electric-Diesel Combined systemの略)」と呼ぶシステムを開発し、採用した。 本講演では、TRAIN SUITE 四季島のコンセプトを実現するために開発したEDC方式について、主回路 システムの特徴のほか、補助電源システムの概要について述べる。
No.2 87系「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の車両システム JR西日本では、2017年6月17日より本州西部を周遊する寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」を運行して いる。この列車の実現に当たっては、運行や地上設備、性能などの様々な制約をクリアする必要があり、 新たに87系寝台気動車を開発した。 87系は、電化区間と非電化区間を通しで運転する必要があるため、ディーゼルエンジンで発電し、モーター を駆動するシリーズハイブリッド車両とした。バッテリーの搭載により、駆動電力のアシストと回生電力の 吸収が可能となり、省エネルギー化に寄与している。また、工場や船舶等で用いられている汎用の発電装置の 並列運転技術に着目して、発電装置を動力車1両に2台搭載し、並列運転することで、冗長性の向上と電力の 有効活用を図っている。 また、車両を駆動する主回路機器と空調装置などのサービス用機器は、発電装置からのAC440V出力を 共用の電源としており、SIV装置を省略している。 本講演では、瑞風を実現するために工夫したこれらの内容を中心に、87系の編成構成や発電及び駆動シス テムなどの紹介を行う。さらに、瑞風の安定運行実現のために構築した、オンレール上で発生した不具合 情報に対して、関係箇所と情報共有し支援する仕組みについても述べる。
No.3 画像処理技術の発展と鉄道への応用 東芝では1967年の自動郵便番号読取機にはじまり、画像処理を応用したシステムの実用化を行ってきた。 本講演では、まず画像処理技術および画像処理を応用したシステムの発展の歴史を紹介し、鉄道分野への 応用事例の紹介、最後に画像処理のシステム構成の検討ポイントについて述べる。 まず、50年にわたる画像処理技術および応用システムの発展の歴史を実用化した製品を事例に紹介する。 とくにセンサや処理系の発展とともに取り扱うデータが多種・多次元・大規模になっていく発展の流れに そって、画像処理のアルゴリズムの発展や応用事例が広がってきた流れを実用化事例にそって述べる。 次に、映像監視システムや自動車の安全運転支援技術等で培われた画像処理技術について、鉄道分野へ の応用事例を紹介する。具体的には(1)車両前方監視技術、(2)車内監視技術、(3)鉄道沿線監視 技術の3つについて、必要な技術と応用事例を紹介する。 とくに(1)については国土交通省の支援を 受けて試作した走行安全運転支援システムについて詳細に述べる。 最後は画像処理技術を製品化するにあたってシステム構成を検討する際の留意点について述べる。
(第2回 10月4日) No.4 電車線とパンタグラフの動特性 架空電車線は1重系であり、パンタグラフ通過時に事故が発生するとダウンタイムが長くなりがちな 重要な設備である。これらは電力設備と車両との境界分野であるだけでなく、電機接点が移動しながら 大電流を通電する工学的にも 特異な機器である。本講演では、電車線やパンタグラフの基本的な構造、集電系の力学現象に関する理論解析、 電車線・パンタグラフ間の接触力変動などについて概説し、接触力変動を低減し、安定した集電を実現する ために行われている電車線およびパンタグラフの対策などについて紹介する。 また、電車線は離散的に支持される柔軟構造物であるため、その動特性の理解には波動の概念も必須となる。 しかしながら、電車線を伝搬する波動はレール方向の長さに対し、その振幅が非常に小さいため、通常は 視覚的な理解が難しい。そのため、電車線を縦方向にのみ80倍に拡大する異方倍率レンズで撮影したビデオ 映像なども紹介し、電車線を伝搬する波動についての理解を助ける。 さらに、新幹線用パンタグラフの空力騒音低減のための工夫や、鉄道総研の集電系に関する最近の 研究成果や試験装置についても紹介する。
No.5 海外鉄道建設への日本鉄道技術者の貢献 世界の大都市における通勤事情を見ると、ラッシュ時における道路の状況は渋滞がひどく、歩くほうが 早い、と言われる国は数多く存在する。中でも状況の良くない東南アジア諸国等では道路渋滞解消のため、 都市通勤鉄道の建設が望まれているが、現状はなかなか当該国の希望どおりには進んでいない。 これら海外通勤鉄道の建設にあたっては、日本の技術協力、資金協力を骨子とする海外通勤鉄道建設案件 も多く、ここでは日本の鉄道関係者の活躍も期待され、実際に大きな貢献をした例も多くみられる。 技術者の多くはコンサルタントとして、当該政府都市通勤鉄道の事業可能性調査から始め、入札支援、 施工管理等を経て開業までの支援業務を行うことが多い。 日本の技術協力、資金協力の仕組み、通勤鉄道建設の状況をいくつか紹介するとともに、その問題点、 今後の動向などについて述べる。 日本の技術協力資金協力で海外に鉄道を建設する場合、できれば日本の国内で生産される製品をその まま相手国に輸出できることが望ましい。 鉄道車両については、日本の国内向けと海外向けとは適用する規格の違い、車両コストに含まれる 諸費用、経費、リスクについても、大きく異なっており、日本の車両メーカが車両を輸出する場合、 苦労のもととなっている。 この状況についても紹介したい。
(第3回 11月8日) No.6 JR東日本における機械設備のネットワークメンテナンスの取組み JR東日本では将来の労働人口の減少を見据えた仕事の仕組みづくりに挑戦しており、ICT等の 先端技術を活用した技術革新に取り組んでいる。当社機械部門においても、バリアフリー化や駅ホーム 安全対策の推進に伴い、昇降機やホームドア等の設備が急増している中で、修繕費の増抑制と設備品質 の確保が求められており、これらを両立させるためにはメンテナンスの仕組みを変革していく必要がある。 これまで主要な機械設備については、ネットワーク接続された監視システムを構築し、運転状況の把握 や警報発報等を即座に知得できる仕組みを実現してきたが、異常時の即時対応支援や個々の設備の故障 原因究明としての利用にとどまっている。今後はこれら豊富なモニタリングデータを活用したCBM型 のメンテナンス手法への移行を促進していく。 本講演では、当社及び当社グループで取り組んでいる機械設備のCBM化の目指す方向と取組み内容、 課題等について紹介する。
No.7 エレベーターの遠隔管理サービス 三菱昇降機におけるエレベーターの遠隔管理サービスは、故障状態を監視する異常監視機能と、 異常発生時に情報センターよりかご内のご利用者と直接通話する機能を、1982年に提供開始して以降、 機器の状態を遠隔より点検する遠隔点検機能、夜間等ご利用者の少ない閑散時間帯にエレベーターを 専用運転モードで動かし、高度な断を行う遠隔診断機能、更には、地震発生時に機器の損傷の有無を 自動で診断し、遠隔より仮復旧する地震時エレベーター自動診断&復旧システム等の提供へと進化を 続け、現在、約18万台の昇降機でサービスを提供している。 これら機能は、エレベーターのご利用者様に対する安全・安心向上と、停止時間最小化による利便 性向上を目的として進化させてきたが、近年のIoT技術やデータ解析技術等の急速な進展を踏まえ、 今後、三菱昇降機が目指す新たな遠隔管理サービスの方向性について、紹介させていただく。
No.8 トリリオンIoTと人材育成 IoTが叫ばれて久しいが、Society5.0、Industry4.0など ビッグデータ やAI技術と共に着実に様々な市場セグメントにIoTソリューションとして浸透しつつある。 本講演では、社会インフラを中心とした先端事例紹介と共に、更なる市場拡大に必要なコア技術、 エコシステムを目指した世界の標準化、アライアンス状況、そして幅広い技術力とドメイン知識を 持ったIoT人材育成、などについて言及する。
(第4回 12月6日) No.9 空調システムの流体シミュレーション 鉄道車両において、快適な移動空間を実現することは重要な要素のひとつである。その中で、空調 システムを適切に設計し、その妥当性を効率よく把握、調整することは車両メーカーの役割である。 近畿車輛株式会社では、設計した空調システムの妥当性を確認あるいは調整を施すために数値流体 シミュレーションを鋭意活用し、効率的な空調システムの実現を図っている。 空調システムの理想としては、経時的変化、たとえば日射・人体負荷の変動の影響、ドア開閉に よる流入/流出の影響、人の動きによる流動の影響ならびに空調機フィルタの目詰まりによる流れの 変化の影響などを的確に捉え、きめ細やかなコントロールができることが望まれる。ただし現実では、 経時変化の影響を考慮しない基本的な空調システムを構築することが肝要であり、具体的には、数値 流体シミュレーションにより、風量バランス、風速分布(ドラフト感)、圧力損失などの流れの状態 に着目した評価ならびに温度分布から空調空気の拡散の傾向を把握するとともに、結果の吟味から シミュレーション上においてダクトの変更、整風板の適切な配置などの各種調整を行うことにより、 空調システムの実現を図ることが必要である。 本講演では、当社で実施している数値流体シミュレーションについて事例を交えながら紹介する。
No.10 鉄道車両における探傷技術の変遷,現状と近年の動向 鉄道車両の定期検査では以前から,台車枠や輪軸などの台車周辺部品を中心に,超音波探傷, 磁粉探傷,浸透探傷をはじめとする探傷技術が適用されてきた。特に,車軸に関しては,戦後の 昭和20年代に多発していた車軸折損事故を防止する目的で,昭和25年頃から旧国鉄にて磁粉探傷や 超音波探傷が試行されはじめ,現在に至っている。 本講演ではまず,鉄道車両の在来線から新幹線に至るまでの,車軸の超音波探傷を中心とした 探傷技術の歴史や変遷をたどる。そして,現在実施されている各種の探傷技術について,それら の特徴や具体的な方法を概説し,探傷精度や適用範囲,適用限界などを比較する。そのうえで, 現在,研究開発が進められている,フェーズドアレイなどの新しい超音波探傷法や磁粉探傷の 自動化,非接触で探傷可能な各種技術などの近年の動向を紹介しながら,鉄道車両の探傷技術に おける今後の方向性を述べる。 また,探傷技術に関連する話題として,きずの進展性と検査精度,検査周期との関係や,非破 壊試験における資格認証制度の動向についても簡単に説明する。